宗教について 〜 人の生と死を考える 注83

公開: 2023年3月30日

更新: 2023年4月22日

注83. 宗教改革

16世紀のヨーロッパ大陸では、カトリック教会の世俗化が問題になり始めていました。特に、カトリック教会が、多額の寄付を教会に行った領主などに対して、この世で行った罪深い行いを許し、その人々を天国へ導くことができると約束した文書を配布したことに対して、ドイツのルターが教会批判を行ったことをきっかけにして、北ヨーロッパ全体に反教会運動が起こりました。

この運動は、結果として、それまでのカトリック教会ではない、新しいキリスト教を生み出しました。その新しいキリスト教を「プロテスタント」と呼びます。有名なのは、ドイツのルターの教え、スイスのカルバンの教えなどです。いずれも、教会のような組織を通さないで、神と信者が、聖書によって直接、結びつくことを原則にしています。それは、ラテン語ではなく、信者が理解できる言葉で、直接、神の言葉を理解することが原則になっています。

ルターやカルバンは、カトリック教会では、働くことそれ自体は、それによって得た財産を教会へ寄進するための行為であると教えましたが、ルターやカルバンは、一生懸命に働くことは、それ自体が神への信仰を表すものであるとしたことでした。つまり、プロテスタントでは、働くことそのものの、宗教的な意義を認めたのです。この思想によって、17世紀以降、プロテスタントに改宗した北ヨーロッパ諸国では、資本主義経済が発展したと考えられています。

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